<腹部全体痛>
・ブスコパン無効な痛み、体位変換できない痛みは腸管壊死/解離の可能性あり造影CTが必要。
①頻回嘔吐+手術歴
腸閉塞⇒手術歴がない場合は鼠径部を必ず見ること。
cf)腸閉塞
・便秘による腸閉塞は滅多にない(浣腸は禁忌)。結腸の腸閉塞は大腸がんのサイン。
・麻痺性イレウスと腸炎の区別は難しい。
・エコーで拡張腸管の蠕動がないこと、腹水があること、gaslessな拡張があることなどが絞扼性を疑う。
・閉塞性、癒着性、絞扼性にしろ閉塞起点があるはず(閉塞性は腫瘍や腸重積、癒着性は索状物によるbeak sign、絞扼性は腸捻転など)。なければ麻痺性(SMA塞栓症、虫垂炎、PID、穿孔)となるが、全体的に腸壁の肥厚が見られれば腸炎(腸炎による麻痺性イレウスとも考えられる)
・絞扼性が否定的なら、イレウス管を十二指腸内に留置し、パントール20-100mgを点内に入れて持続投与すれば蠕動でイレウス管が進むので小腸内の減圧はできる。時折イレウス管の位置を腹単で確認する。大腸癌による閉塞の場合は、CFでステントを留置し、排便させて食事摂取を早めに行わせること。早期からのリハビリも重要。
・癒着性イレウスに対し、NGチューブから胃内容物を吸引した後に、ガストログラフィンを50-100ml注入し、6-24時間後に撮影し、右横行結腸に造影剤が認められれば、感度92%、特異度93%で手術治療なしで治療可能と判断できる。
cf)腸重積の原因:大人は腫瘍、子供はMeckel憩室、Peutz-Jeghersなど。腸重積は乳幼児だけの疾患ではない!!
②板状硬
消化管穿孔かも⇒造影CTして、free airや腹水貯留ないか見ること。上部消化管穿孔でのNG留置は愛護的に行い、airも少量で確認すること。あまり勢いよく長い距離挿入したり、airを多く入れ過ぎると穿孔を増悪させるので注意。下部消化管穿孔は腫瘍、憩室の他に老人では誘因なく起こる(便秘でいきんだ後に憩室が穿孔起こすことあり)。
cf)腸管穿孔を見逃さないためにairを強調するWL(WC)80、WW1200くらいに変更して見るとよい。初期は腸管壁に沿ってfree airが見られることが多い(WL:window level,WC:window center,WW:window width)。
③腹部軟+喫煙/高血圧
腹部大動脈瘤破裂かも⇒腹部エコー、造影CT
cf)腹部大動脈瘤の切迫破裂や破裂は腹部の筋性防御はみられない。筋性防御はまず腸管穿孔を考えること。
cf)腹部大動脈瘤破裂について
・腰痛を初発とする腹部大動脈瘤破裂は比較的慢性的な経過を取り見逃しやすい。
・体動によらない腰背部痛、血圧低下、嘔吐は腹部大動脈瘤破裂or切迫破裂の徴候。
・closed rapture(破裂による出血が後腹膜腔にとどまった状態)ではタンポナーデ効果によって一時的に出血が抑えられ、血圧が回復することがある。ショック+嘔吐で来院し血圧回復の場合、迷走神経反射と勘違いしAAAを見逃しやすい!
cf)腹部大動脈瘤
・大動脈瘤は腹部大動脈3cm以上もしくは正常の1.5倍以上
・胸骨下端から臍までが腹部大動脈、胸骨下端と臍の間に腎動脈
・触診するときは腎動脈より上か下かが重要、5cm超えても4人に1人は触知しない、3-4cmで30%程度が触知
・有病率5%
・破裂すると半分がその場で死亡、病院に到着しても半分が死亡
・危険因子は喫煙、高血圧、家族歴
・破裂リスク:
①紡錘状よりも嚢状の方が破裂リスク大
②3-4cmでは年間2cm、4-5cmでは年間3cm、5cm以上は年間5cm以上進行する
③破裂のリスクは、4cm:1.5%/年、5cm:6.5%/年、6cm:10%/年
・経過観察の目安
4cm以下なら年1回、4-5cmなら年2回、5cm以上なら専門医コンサルト(無症状でも)
④腹部軟+Af/透析
SMA塞栓症かも⇒造影CT。Af患者の腹痛は絶対に疑うこと。
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