☆結核の診断:
・結核の診断は臨床症状、画像、抗酸菌検査、血清学的補助診断から総合的に判断する。塗末陰性でも培養やPCRが陽性になる場合がある。塗末陰性とは排菌が0ではない、少ないだけで見つかってないか、痰の状態が良くないだけかもしれない。3連痰でも画像が怪しい場合は胃管採取や気管支鏡採取をすること。
☆診断の手順
結核を疑ったら、
①胸部レントゲン
②血液検査(ESR,CRP,WBC,IgM/IgG/IgA,ADA)
→①、②で異常あれば③へ
③QFT-2G
→0.35IU/ml以上なら陽性と判断し、0.1-0.35IU/mlなら他の検査を総合して④へ進むか判断する。陽性なら④へ
④胸部CT
→異常あれば⑤へ、①~④で異常なくても2か月後に①、②、③を施行する
⑤喀痰(無理な場合は朝1番の胃液)、培養を連続3日間提出、PCRは1回提出する
☆結核が見つかった時:
・PCRの結果が出たらすぐに保健所に結核発生届をFAXすること。
・状態が悪い場合に、救急車を使う場合は、救急隊にN95マスクを装着するよう伝える。
・施設からの入院の場合は、施設に結核のことを伝えること。
cf)非定型抗酸菌症(NTM)の場合は空気感染しないので、患者と周囲の人にマスクは必要ない。
cf)結核発生届の書き方
・感染したと推定される年月日は「不明」
・感染蔓延防止のために医師が必要と認める事項は「当該患者の隔離、結核治療と医療従事者を含む接触者の感染精査」
☆結核接触者(自覚症状なし)に対する対応
注意)基本は保健所の結核審査会からの指示に従うこと。
①初発患者が判明した時点でQFT施行し陽性なら胸部XPや胸部CT施行する。
②初回QFTが陰性でもwindow periodを考慮し、2-3ヶ月後に再度検査する。
③QFT陽性で胸部CTにて現感染疑われるなら呼吸器内科紹介。
④QFT陽性だが胸部CTで異常なければ医療者であれば潜在性結核と考えてINH単剤6ヶ月内服を行うか、3ヶ月ごとの胸部XPフォローを行う。過去2年間に結核患者との接触の可能性が低いのであれば、既往感染と考えて年1回の胸部XPフォローを行う。
cf1)潜在結核でINH単剤投与を行うと耐性菌が出現するという意見もある。
cf2)初発患者の喀痰培養でINH耐性の場合はRFP単剤6ヶ月内服を行う。
cf3)IGRA(イグラ)にはQFTやT-spotがあり現感染と既感染は区別できない。入職時のQFT陰性が陽転したのであれば現感染であり、CTで異常影ない場合はINH単剤6ヶ月投与する。
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