<呼吸困難(SpO2の低下)>
☆急速に生じた喘鳴、SpO2低下、両側肺水腫はACSやたこつぼ型心筋症の可能性あり。まずは心電図/TropT/ラピチェックを。
cf)超急性期のACSはT波増高から始まるので注意。必ず前回心電図との比較を。
cf)アナフィラキシーなら皮疹から生じるはず。
・夜間のSat低下は、
①痰詰まり⇒呼吸数↑
②過鎮静(リスパダール、セレネース、バルプロ酸など)⇒呼吸数↓
③CO2ナルコーシス(COPDある場合)⇒呼吸数↓
④肺炎⇒呼吸数↑
⑤心筋梗塞、敗血症など血圧低下⇒呼吸数↑
cf)Satの変化は呼吸数で代償しきれなくなった時に起こるため、呼吸数の変化がより鋭敏。
呼吸数増加:
①代謝性アシドーシスに対する呼吸代償
②組織酸素需要量の増大
③交感神経興奮状態(心因性の過喚起症候群を含む)
呼吸数低下:
①呼吸中枢抑制(麻薬・鎮静薬,CO2ナルコーシス,中枢神経障害)
☆胸部誘導でのnegativeT、SpO2 89%くらいの低下、頻脈、PaCO2低下、AST/ALT/LDH上昇のどれかがあれば、下肢浮腫がなくても、心エコーで右室拡大の有無を確認する(PE/DVTの否定)。
⇒抗癌治療中など凝固亢進状態がある場合は造影CTでPEなくても末梢性のPEの場合があるため、必ず心エコーでPA圧を測定してもらう。
☆PE/DVTによるSpO2の低下は酸素投与で容易に改善するが、見逃すと右心不全が進みCPAになる。
★酸素化悪い時は、躊躇せずにバッグ換気⇒挿管をする。酸素化不良を漫然と放置しない。
★血圧低下時はSpO2が低く出るので、上気道狭窄音がなく、胸郭が上がっていればバッグ換気はOK。
★入れ歯をとった時は挿管位置は口角20㎝でOK(普通は22cm)。
★挿管困難(CI:cannot intubate)は怖いが換気困難(CV:cannot ventilateはもっと怖い(CVCI)→バッグ換気OKなら挿管は待てる。
★バッグ換気で酸素化悪い時は、頚部の聴診と送気したバッグを握ったまま保持しPCVにする。
★バッグバルブマスク(アンビューとも言う)はFiO2が100%にはならないが、ジャクソンリースは酸素10L/分にすれば100%になる。リザーバーマスクも酸素10L/分なら100%になる。⇒この時のPaO2/FiO2を計算して300以下ならALI,200以下ならARDS。
★挿管の確認はまず左肺⇒胃部(胃泡音が強すぎて左肺の呼吸音と間違うことがある)。
☆喀痰/呼吸音左右で低下⇒喀痰による上気道閉塞や無気肺。胸部CTにて気管支閉塞を確認できれば、気管支鏡にて吸痰施行。
☆咳痰/発熱⇒肺炎
・A-DROP(BP90以下/SpO2 90以下/BUN21以上/意識レベル低下/男70女75才以上)3つ以上該当以上なら入院適応。
・採血、胸写、胸部CTを。
・室内気でSpO2が93%切るようなら痰培、血培2セット採取し入院。
・寝たきりの誤嚥は炎症が肺底部に見られるはず。
☆透析中でBUN↑Cr↑⇒溢水(尿毒症)
・DWを患者かかかりつけクリニックに聞いて、緊急透析(3時間3L程度)。
・血圧が高くて、心不全もあるならミリスロール原液を2mlショットし、2ml/hrで持続投与。
・血中浸透圧>尿中浸透圧なら溢水状態。
☆wheeze/BNP増加/pitting edema/CXRで上肺野中心の左右対称な肺鬱血(心拡大目立たなくてもbutterfly shadow=CXRで左右対称、上下肺野が白い)⇒急性心不全か慢性心不全の急性増悪
cf)Cheyne-Stokes呼吸について
・無呼吸と頻呼吸の繰り返し。
・脳卒中、うっ血性心不全、重度の腎臓疾患、肺炎、中毒、全身麻酔、乏血、失神、瀕死時。
・酸素化不良⇒頻呼吸⇒CO2低下⇒無呼吸⇒CO2上昇⇒
⇒脳卒中:呼吸中枢が障害されてCO2上昇の感知が遅延するため無呼吸が続く
⇒慢性心不全:心拍出量が低下し高CO2の動脈が呼吸中枢へくまで時間がかかるためCO2上昇の感知が遅延するため無呼吸が続く
・胸痛あれば、胸痛の対応に準じる。
・慢性心不全の急性増悪で血圧が高い(140mmHg以上)ならミリスロール原液を2mlショットし、2ml/hrで持続投与。効果ないならBiPAP(胸腔内圧を上げて静脈還流を減らす効果)。
・ショックバイタル(EF40%以下)なら心原性ショックの対応に準じる。ドパミンキット600/200mL1袋5-10γ(体重50㎏で5-10ml/hr、5γ以下はrenal dose)、ドブポン0.3%注シリンジ50ml(ドブトレックス)1筒5-10γ(体重50㎏で5-10ml/hr)、DOA:DOB=1:1で合計20γ以下にする。βblockerを使っておりカテコラミンに反応が悪いときはミルリーラ原液(10mg/10ml)を1ml/hrから開始。
・肺鬱血重篤なら入院後は5%ブドウ糖500ml/day
・低Alb時はアルブミナーを投与。
・自覚症状が軽快したら、点滴offし内服薬に速やかに切り替える。
・心機能が低いが改善傾向見られるなら、1-2日かけてそれぞれの投与量を半減させていく。
・心不全の治療薬
①高血圧があればARB+利尿剤(フルイトラン1mg)
②血圧がそんなに高くなければACE阻害剤(レニベース5-10mg/日、意外と空咳多い)
③利尿剤はラシックス単剤よりもアルダクトン併用(ルブラック4-8mg/日+セララ50-100mg/日⇒セララはDM禁忌)。腎機能悪い時はKに注意する。
④虚血か収縮低下があればβ遮断薬。アーチストが使いやすい。2.5mg→5mg→10mgと増量。 突然死のリスクは低容量でも予防効果があるが、DCMなどでは用量依存的にEFの改善が見込める。Afのレートコントロールにも使えるがアーチストは意外とレートが下がらないことがあるのでメインテートにする。
⑤Afがあればジキタリス(ジゴシン0.125-0.25mg/日)も考慮するが、虚血心、VPCやNSVT頻発では例使用しない。
⑥coronary risk factorが高ければ、クレストール+アスピリン+PPI。
⑦栄養指導を受けてもらうこと。塩分制限は絶対必要。
⑧V2受容体拮抗薬(サムスカ15mg)は集合管から水だけ抜くので、肺水腫くりかえし、BiPAP中、透析寸前に使うと良い。
☆長期の喫煙歴/慢性咳嗽痰/滴状心/やせ⇒COPDの急性増悪
・喘息の治療と同様だが、リンデロン4mg(0.4%)+5%ブドウ糖20mlを1日2回とBaseに感染症あるかもしれないのでCTRX1g1日1回投与し、軽快すれば1週間かけてリンデロンは半減し中止。
・SpO2が89%以上になる程度でO2は2L/分程度までとする。
・肺線維症では僅かな体動でPaO2が30mmHg以上も低下することがある。頻回測定が必要。
・O2を2L/分にしても、SpO2が改善しないときは、PaCO2とpHの関係から、高PaCO2が慢性か急性かを判断し、慢性的ならO2流量を上げるとCO2ナルコーシスから呼吸停止になることがあるため、BiPAP を導入する(それでも無理なら挿管することになるが、人工呼吸器が離脱できなくなることを家族に話した上でそうするか決めてもらう)。
・底流量の酸素投与でしのげたなら急性増悪の原因(多くは感染症)の治療を行う。
☆発作既往/wheeze/心拡大なし/BNP増加なし/CTにて肺異常なし⇒喘息
・ソルメルコート125㎎(プリドール)1Vを生食100mlに溶かして30分かけて投与。超音波ネブライザーでベネトリン吸入液0.5%0.5ml+ビソルボン吸入液0.2%2ml+生食5mL2A(3mlでも可)を3回繰り返す。
・アスピリン喘息ではソルメルコートなどのコハク酸エステル型ステロイドは喘息を誘発するためリン酸エステル型ステロイドであるリンデロンやデカドロン4-8mgに変更する。
・室内気でSpO2が93%以上ならフルタイド100ディスカス60ブリスター1個1日2回30回分、メプチン10μgエアー100吸入5mL1キット発作時30回分、キプレス10㎎1錠1日1回寝る前、ムコソルバン15㎎3錠1日3回毎食後を処方し、帰宅。
☆SpO2が91%程度/100回/分以上の頻脈/女性/下腿圧痛/肥満/ピル/喫煙/骨盤手術歴⇒DVT/PEかも
・まずは心エコー。
・心エコーで右室拡大あれば造影CTする(D-dimer陰性なら否定的)
・ワーファリン5㎎1錠分1朝食後、ヘパリンNa(1000単位/ml)5mlショット後、ヘパリンNa(1000単位/ml)15mlを生食100mlに溶いて5ml/hrで持続投与開始。
・ワーファリン投与期間:原因が除去できたら3ヶ月、原因不明なら6ヶ月、ProteinS/C欠損/癌/膠原病など原因が一生ものなら一生。
・大きな肺炎でCRP陰性、Dダイマー上昇を見ると肺梗塞を疑うが、大きな肺梗塞なら肺主幹動脈の閉塞があるはず。
☆長身痩せ型/喫煙歴/若年男性⇒自然気胸
・胸痛→呼吸困難
・正面CXRで正常でも前面気胸かもしれないのでCTを。
・両側乳頭を結ぶ線と中腋下線の交点で肋骨上縁をキシロカイン10mlで陰圧をかけながら穿刺しつつ麻酔し、気泡が逆流したところが胸腔内なので、そこから少し針を戻して胸膜を6ml使って麻酔する。麻酔部を尖刃で切開し、ペアンでとりあえず胸腔に孔を空け、18-24Fr(フレンチ)の太さのトロッカー(チェストチューブ)を挿入し、12cmH2Oで持続吸引する。
☆血圧低下/発疹発赤/気道狭窄音⇒アナフィラキシーショック
・まず生食全開投与し、ボスミン0.3mg/0.3mlを大腿外側にi.m.
・ポララミン5mg1A、ラニチジン(ザンタック)100mg1A、ソルメルコート(プリドール)125mg1Aを生食100mlに溶いて30分かけて投与。
☆血圧低下/気管偏位/片側胸郭膨隆/片側呼吸音低下⇒緊張性気胸
・両側乳頭を結ぶ線と中腋下線の交点を尖刃で切開し、ペアンでとりあえず胸腔に孔を空ける。
☆体動時の著明な息切れ⇒間質性肺炎
・RA/SLE/PMDM/サルコイドーシス/カリニ
cf)RAの活動性はCRPとMMP-3でみる。
☆最近の引っ越し/好中球↑LDH↑/空咳⇒過敏性肺臓炎
☆好酸球増多⇒ChurgStrauss(IgE↑MPO-ANCA陽性)かABPA(IgE↑アスペルギルス抗原↑)。PSL内服必要。呼吸器科コンサルトを。
☆鳥の飼育歴⇒オウム病?
☆原因不明なら肺高血圧症かも
・心エコーで肺動脈圧を測定。
・COPD/SLE/PMDM/Sjogren/甲状腺↑↓に合併する。
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