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2014年9月30日火曜日

EDについて

<EDについて>
☆EDとは
・性行為に満足できない状態が3ヶ月以上持続すること。
・患者数は全国1130万人。40代前半で20%、50代で40%、65以上で60%。
cf)AGAの患者数は全国1260万人。20代で10%、30代で20%、40代で30%、50代で40%。
☆EDの診断
勃起硬度スコア(EHS:Erection Hardness Score)
米国においてEDのセルフチェックのために開発された。簡便かつ信頼性が高い。
グレード0:陰茎は大きくならない。
グレード1:陰茎は大きくなるが、硬くはない。
グレード2:陰茎は硬いが、挿入に十分なほどではない。
グレード3:陰茎は挿入には十分硬いが、完全には硬くはない。
グレード4:陰茎は完全に硬く、硬直している。
硬さの目安として、各グレードでの硬さは以下のように例えられる。
グレード1:こんにゃく
グレード2:みかん
グレード3:グレープフルーツ
グレード4:りんご
グレード0~2の硬度では挿入に不十分なためEDと診断できる。
グレード3~4の場合でも十分な時間硬さを維持できない場合や、体調や精神状態によって硬くならない日がある場合EDの可能性がある。
☆EDの原因
・器質性ED:
①DM,HL,HT→動脈硬化→陰茎海綿体動脈の拡張障害
②アルツハイマー、脳卒中、パーキンソン病、骨盤内手術(TUR-Pt術後では6-68%)による神経障害
③前立腺肥大症、前立腺癌、更年期(LOH症候群、アンドロゲン低下)
・心因性ED:ストレスなどによる現実心因性、トラウマによる深層心因性ED
・薬剤性EDには、抗うつ薬、降圧剤、睡眠剤。例:利尿剤、Ca拮抗薬、βブロッカー(ARBはEDを改善、BPH治療薬のαブロッカーは射精障害を起こすがEDは起こさない)
・リスクファクター:肥満、SAS(夜間の勃起障害→酸素化不良)、運動不足、喫煙、年齢、糖尿病、高血圧、テストステロン低下、慢性腎臓病、鬱、抗鬱薬、薬物、パーキンソン病や脳卒中などの神経疾患
☆ED治療薬
・陰茎海綿体に分布するPDE5を阻害し陰茎海綿体動脈の血管拡張を促す。
・1993年にバイアグラ(シルデナフィル)、2004年にレビトラ(バルデナフィル)、2007年にシアリス(タダラフィル)が承認。
・バイアグラはファイザーより1998年に承認され、日本以外では100mgまで販売されている。日本は50mgまで認められており、通常は50mgを服用する。
・バイアグラ25mgから開始:CYP3A4代謝の薬剤(エリスロマイシン、クラリスロマイシン、シメチジン)、抗HIV薬/抗真菌薬、65歳以上、CCr30以下、Child-PughB以上、αブロッカー
・バイアグラ50mgが効かない時はレビトラ20mgやシアリス20mgに切り替えを考える。(ED薬の強さ:レビトラ20mg=バイアグラ100mg=シアリス20mg>レビトラ10mg=バイアグラ50mg=シアリス10mg>レビトラ5mg=バイアグラ25mg=シアリス5mg)。
・勃起の硬さが不足すると感度が増え早漏になるが、レビトラにはバイアグラやシアリスより早漏改善効果がある。ただし早漏治療薬のダポキセチンには及ばない。
・レビトラの通常量は10mgで即効性があり、20mgまで増量でき、バイアグラ同様のED改善効果が期待できる。65歳以上にはレビトラ20mgの適用は無し。
・65歳以上にはレビトラ20mgは処方できないので、進行したEDの65歳以上ではシアリス20mgを使う。
・アドシルカは肺高血圧症の治療薬で40mgを1日1回、ザルティアは前立腺肥大に対する治療薬で用法は5mg1日1回である。成分はシアリスと同じタダラフィルである。
・きちんと前立腺肥大と診断されないと保険診療でザルティアを処方してもらうのは難しい状況である。
・1番新しい薬であるシアリスの通常量は10mgである。副作用が最も少ない。
・DMにより動脈硬化が進行し重度のEDがある場合はシアリス20mgにする。
・シアリスは"妻だけED"などの心因性に効果的である。効果の発現に若干の個人差があることに注意。
・3剤とも心血管イベントの発生率はプラセボと優位差なし。降圧薬との併用もOK。
☆ED治療薬の持続時間
・効果発現までの時間はバイアグラが30分~1時間、レビトラが10分~30分、シアリスが1~2時間。
・効果持続時間はバイアグラが3~6時間、レビトラが5~8時間、シアリスが30~36時間。
・食事やアルコールの影響はバイアグラやレビトラが受けるのに対し、シアリスはほとんど受けないとされている。
・シアリスは1時間後に効き始め、3時間後がピーク、30~36時間続くため、金曜の夜に内服しておけば日曜まで続くためウィークエンドピルと言われている。
☆副作用
①重篤なもの:
1)NAION(non-arteric anterior ischemic optic neuropathy):突然の無痛性の視野欠損。50歳以上で2-10/10万人に生じる。
2)突発性難聴
3)前立腺癌術後のPSA再発
4)メラノーマ(紫外線と同じハザード比で交絡因子の可能性)
5)持続性勃起症:服用後4時間以上続くなら泌尿器科受診が必要である。
②軽微なもの:
・顔のほてり、目の充血、頭痛、鼻づまり、青視症(視野が青色に見える)→全て自然軽快する。シアリスは副作用が少ない。
・顔のほてり、目の充血は効果発現のサイン、薬効が切れる頃に鼻づまりや目の奥の痛み、光過敏、青視症が認められるがすぐに改善する。
・その他、血流増加による蠕動運動上昇で胃部不快感(GERD)、下痢を認めることがある。結膜炎、腰痛などもあり。
・シアリスのみ背部痛(5%)を認めることがある(シアリスは骨格筋に分布するPDE11も阻害するため)。
☆禁忌、併用禁忌
・併用禁忌:硝酸薬(ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド)、クラスIIIの抗不整脈薬(アミオダロン、ソタロール)、肺高血圧薬(リオシグアト)との併用は禁忌。
cf)ニプラジロール点眼液、ハイパジールコーワ点眼液にニプラジロールが含まれており、添付文書上はバイアグラと併用禁忌ではないが併用禁忌としているクリニックもある。
cf)メニエールにて処方されるイソバイドはイソソルビドだが、硝酸イソソルビドとは違うのでED薬は使用可能。
・禁忌:PDE5阻害薬そのものにアレルギーがある人、肝障害、心血管障害があり性行為そのものが禁止されている人、90/50mmHg以下の低血圧や170mmHg以上のコントロールされていない高血圧症、網膜色素変性症(糖尿病性網膜症には慎重投与)
・バイアグラやシアリスにはないレビトラの禁忌:先天性QT延長症候群、クラス1Aの抗不整脈薬(キニジン、プロカインアミド)、抗HIV薬、ケトコナゾールやイトラコナゾール、透析中。
☆服用上の注意
・性行為の1時間前に服用する。
・ED薬を飲んだだけでは勃起しない。ED薬服用後に性的興奮が加わる必要がある。
・アルコールはリラックス効果があるが、過度に飲酒すると神経伝達が悪くなるためほどほどにする。
・性欲には影響しない(催淫作用はない)。
・ED薬は5~6回使わないと効果にムラがあり、また食事の影響受けるので食事のタイミングを掴むためにも5~6回試す必要がある。
・必ず空腹時に服用すること、食後に服用するときは2~3時間あけて、また油ものは避けるようにする。
・食事をする場合は食前1時間前に内服して吸収をさせてからにしておく。
・ED薬の効果が効かないのはアルコールの飲み過ぎや食後の服用が最も多い原因。
・シアリスは食事の影響は受けにくいが800kcal以上の脂っこい食事では効果が減弱する。
・ED薬は直射日光にあてさえしなければ製造から3年間は保存可能。
・持病で服用中ならお薬手帳で禁忌薬がないか必ず確認する。
☆用法用量
血流改善効果があるため、飲酒後、運動直後、入浴直後の服用は避ける。
・バイアグラ
1日1回25-50mgを性交の1時間前に服用(投与間隔は24時間)
65歳以上、肝障害、重度の腎障害(CCr<30ml/min)では25mgから開始
・レビトラ
1日1回10mgを性交の1時間前に服用、効果ないときは20mgに増量(投与間隔は24時間)
65歳以上、中等度肝障害では5mgから開始し、上限は10mg
腎障害、HDの場合は禁忌
・シアリス
1日1回10mgを性交の1時間前に服用、効果ないときは20mgに増量(投与間隔は24時間)
軽度又は中等度肝障害では上限10mg
中等度の腎障害では5mgから開始し上限10mg(投与間隔は48時間)
重度の腎障害では5mgが上限(投与間隔は48時間)
HDの場合は禁忌
☆禁忌
・バイアグラの禁忌
本剤に過敏症の既往
硝酸剤(ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド)投与中
心血管障害により性行為が不適当
重度の肝機能障害(肝硬変)
低血圧(90/50mmHg以下)又は無治療の高血圧(安静時収縮期170mmHg以上または安静時拡張期血圧100mmHg以上)
脳梗塞、脳出血、心筋梗塞の既往が6ヶ月以内
網膜色素変性症(DM網膜症がある場合も禁忌→DM患者はDR(-)を必ず記載する)
アミオダロン投与中
可溶性グアニル酸シクラーゼ(リオシグアト)投与中
・レビトラの禁忌
バイアグラの禁忌に以下を追加
先天性QT延長症候群、クラス1A抗不整脈薬(キニジン、プロカインアミド)、クラス3抗不整脈薬(アミオダロン、ソタロール)
血液透析患者、腎障害(DM患者はDKD(-)を必ず記載する)
不安定狭心症
CYP3A4を阻害する薬剤(リトナビル、インジナビル、アタザナビル、サキナビルメシル、ホスアンプレナビル、ロピナビル・リトナビル、オムビタスビル・パリタプレビル・リトナビル、ダルナビル、テラプレビル、外用剤以外のケトコナゾール、イトラコナゾール、コビシスタット)
抗HIV薬
・シアリスの禁忌
バイアグラの禁忌とほぼ同じ(心筋梗塞の既往が6ヶ月→3ヶ月以内に変更あり)
血液透析

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