<腰痛>
☆片側性によるものは尿管結石を考慮。腰痛と同側の股関節の鈍痛は腎盂腎炎による放散痛のことあり。
☆稀に帯状疱疹のこともあり。水疱に先行して痛みが出ることがある。
★red flag(1か月以上持続、50歳以上、安静時痛、ステロイド使用、体重減少、癌、神経症状)ないか聞く。
★FACET(facet=椎間関節の意味)がないか探す。
①fructure(脊椎圧迫骨折、骨盤骨折、仙尾骨骨折)
・圧迫骨折は高齢者の尻餅で起きやすい。叩打痛ないか⇒あればレントゲン撮影し、叩打痛のところを入念に見る。叩打痛のない圧迫骨折は陳旧性。新鮮圧迫骨折はSTIRでhigh/T1low。圧迫骨折あれば整形入院させ、圧迫が進行しないように水平位を保つ。コルセット装着し1か月の安静後、リハビリ開始。痛み止めはカロナール200㎎9T/3x→トラムセット3T/3x。それでも痛いなら硬膜外ブロック(ペイン外来consult)。
・骨盤骨折があれば必ず造影CTを行い、現在の出血がないか確認する。骨盤骨折は入院。
・仙骨尾骨の骨折は保存的に見るしかないので、痛み止めを処方し翌日整形外科受診を指示。
②aorta(腹部大動脈の瘤や解離)
・移動する痛み、高血圧既往、腹部拍動性腫瘤あれば、腹部エコーを行う。
・3割は腹部拍動性腫瘤がないこともある。
cf)腹部大動脈瘤破裂について
・腰痛を初発とする腹部大動脈瘤破裂は比較的慢性的な経過を取り見逃しやすい。
・体動によらない腰背部痛、血圧低下、嘔吐は腹部大動脈瘤破裂or切迫破裂の徴候。
・closed rapture(破裂による出血が後腹膜腔にとどまった状態)ではタンポナーデ効果によって一時的に出血が抑えられ、血圧が回復することがある。
cf)腹部大動脈瘤の壁在血栓と解離性腹部大動脈瘤の違いについて
・腹部大動脈瘤(AAA)の血管を取り囲むようなLDAは壁在血栓であることが多い。破裂の危険性とともに血栓が末梢に飛んで足壊疽などの危険性もあり。
・血管を取り囲む血栓が三日月状で単純CTにてhighに見えた場合はcrescent sign陽性で切迫破裂の危険性がある。
・壁在血栓は内膜の内側に動脈硬化で生じたもの、解離は中膜が解離して偽腔となり血液が流入したもの。内膜の石灰化が大動脈内に見えた場合は解離の可能性あり。
・真性AAA>50mm-55mm、限局解離を伴うAAA>45-50mmが手術適応。
③compression(ヘルニアや脊柱管狭窄)
・夜間痛(脊柱由来の痛みは、筋肉が弛緩する夜中に起きやすい)、痺れ、尻の中央を押すと足先まで痛みが放散(坐骨神経痛)、膀胱直腸障害ないか見る。両下肢の運動も感覚もまだらに障害される。運動だけ完全に障害されるのは脳血管障害。
④epidural abscess
・腰椎の手術歴+DM+発熱では常に考慮する。ワーファリン使用中の血腫の時もある。
・全身状態が悪い時や採血してCRP2ケタやWBC上昇あれば入院させる。ロセフィン(セフトリアキソン)2gを生食100mlに溶いて30分で投与を1日1回。
⑤tumor
・体重減少、乳癌や前立腺癌既往あれば入院させてMRIを行う。
・腰椎の左右のpedicleが消えていれば骨転移の可能性あり。
☆FACETがなければ急性腰痛症(脊柱起立筋の筋膜炎や棘間靭帯炎etc)としてケンタン(ロキソプロフェン)60mg1錠とムコスタ(レバミピド)100mg1錠を疼痛時頓服で処方する(腎機能低下あればカロナール(アセトアミノフェン)100mg3錠、透析中であれば逆にケンタンで良い)。暖めて動けるなら少々痛くても動くようにして、硬いベッドは避けるようにと指示する。
☆シップはインテナースシップ1袋など。かぶれるという人にはインテバンクリーム1%50mlやスミルスチックを処方する。
0 件のコメント:
コメントを投稿