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2014年9月17日水曜日

吐血、下血、血便

<吐血、下血、血便>
☆フォロー中にBUNが上昇してきたときは消化管出血を疑うこと。Crが同時に上昇していても、出血による脱水が合併しているのかもしれないので、単なる脱水と即断しないこと。
☆咳の結果出た喀血、嘔吐の繰り返しで出た吐血、下痢の繰り返しで出た鮮血便は粘膜損傷の事が多い。軽症ならトランサミン処方で経過観察でも可。
☆吐血の色
  ・茶褐色~黒色⇒胃や食道からの慢性出血(炎症,潰瘍,腫瘍)
 ・鮮血⇒茶褐色の嘔吐を繰り返しているうちにMallory-Weisseを起した、GERD、静脈瘤(肝硬変)など
☆下血の色と出血部位
 ・真っ黒⇒上部、下血と言う。胃十二指腸潰瘍(PUGa/D)、胃癌、GERDなどを疑う。最終飲食時刻を聴取し緊急内視鏡の準備。
 ・暗赤色⇒下部、血便と言う。憩室出血は腹痛なし、右or左下腹部痛は憩室炎、CTで憩室ないなら虚血性腸炎(腹痛とともに普通便から徐々に軟便となり最後に下痢状の血便になる)、腹痛や炎症反応軽度、経口摂取可能ならクラビット100mg5錠分1処方し帰宅も可。大腸癌の場合もあるのでCFは必ず勧めること。
 ・真っ赤⇒血便と言う。直腸潰瘍(長期臥床、E入りキシロカインを含んだガーゼを直腸に充填し帰宅)、痔核(陥頓による痛みがなければヘモレックス軟膏2g処方し帰宅)、肛門周囲膿瘍(痔瘻ないか造影CTをすること)、裂肛(ヘモレックス軟膏2g処方し帰宅)。Hb低下あれば大腸癌かも。CFは必ず勧めること。
☆20代前後ならクローン病(+腹痛、下痢)やUC(+腹痛)も(どちらも高齢者でもピークあり)。血沈とHbのチェック。CFは必須。
☆初期対応
  ・普段より血圧低下、頻脈、じとっとした皮膚(冷汗)あればルート確保し、ラクテック+チチナ1A+リカバリン1A、オメプラール1A+生食100ml点滴(生食20mlに溶いて静注も可)。
 ・モニター装着、血ガスでHb/Lac/pH/BEチェックして、ふらつき/頻脈/起立性低血圧/Hb低いならRCCオーダーと輸血同意書を取っておく。
 ・肝硬変による静脈瘤の可能性低いならNGで上か下か確認してもよい。鼻出血でも黒色便になるし、NGでも胃からか鼻からかは分からない。慢性出血で嘔吐を繰り返しての吐血はMalloryWeisse症候群の可能性あり。
 ・基本は緊急内視鏡。
 ・入院になるならCA19-9とCEA/ピロリ抗体/クロス血/入院時採血セット/ECG/胸写/入院時指示。
☆緊急でないならゆっくり病歴(最終飲食時刻、喫煙、アルコール)、身体所見(明らかな下血なければ直腸診と便潜血)、憩室炎で下腹部痛あるときは炎症反応上がる(なければ憩室症)。
☆内視鏡操作メモ
  ・右梨状陥凹(モニタの左側)に来たら、カメラを下向きにして、本体を持っている左手を右上に持ち上げてカメラをそっと押すと入る。
  ・SDJではスコープを持っている右手で反時計に回しながら挿入する。
  ・十二指腸の1st portionに入ったらカメラを上向きにして、本体を持っている左手首を巻き込むように右に回すと2nd portionに入るので、少しカメラを引き戻すとさらに入っていく。
  ・食道に入ったらまず洗浄する。食道の血管がなくなっているところがSDJ。
  ・胃内の血管が透けて見えるところは萎縮性胃炎。
  ・胃内でJターンしたときにニュースカレークを吸引する。
注)便が黒いからと言って消化管出血とは限らない!
・鉄剤やマドパ(レボドパ)+マグミット内服中も便が黒くなる。マグミットに内服してると下痢状にもなり、タール便と紛らわしい。鉄剤による黒色便はやや緑がかっており、あまり臭くないのが特徴で、鉄剤を休薬すると3日程度で色が戻る。
注)メネシット、マグミット内服中で口腔内に黒色物が付着し、吐血と間違うことあり。

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