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2014年8月17日日曜日

右季肋部痛

<右季肋部痛>
  ・上腹部痛と訴えることがある。
  ・中年
   ①肥満女性+食後発症
    胆嚢炎かも⇒発熱、Murphy陽性なら採血し、腹部エコーか造影CTを。急性胆嚢炎で発症72時間以内なら早期ラパコレ(腹腔鏡下胆嚢摘出術)。痛みが軽度で、SIRS徴候や採血でCRPやWBC上昇が軽度なら翌日外科受診を指示。炎症もなく胆石だけなら胆石発作(GBcolic)かも(→心窩部痛=上腹部痛=胃痛を主訴で来院のことあり)。
   ②食後発症:
    総胆管結石かも⇒発熱、Murphy陽性なら採血し、腹部エコーか造影CTを。AOSCを見逃したくないので、SIRS徴候や直接ビリルビン上昇あれば入院を。結石がなく、痛みも消失したならpassing stoneかもしれない。EST後は胆管内airや胆管拡張があることが多く、逆行性感染もあるので、胆汁排泄促進のウルソ、腸管蠕動促進のガスモチンを処方するとよい。
   ③過度の飲酒歴
    急性肝炎かも。採血でGOT、GPTを測定。200を超えてくると危ないので入院。肝細胞癌は痛くない。
  ・胆管炎:炎症反応↑+胆道系酵素↑、しかしT-BiL↑なし
     AOSC:炎症反応↑+胆道系酵素↑+T-BiL↑
    胆嚢炎:炎症反応↑+CTやエコーでの胆嚢周囲の毛羽立ち(胆道系酵素やT-BiL↑はないことが多い)。胆泥により一時的にT-BiL上昇あり(もしくはpassing stoneか)
  ・ID-BiL優位の黄疸は溶血か血栓(抗癌剤使用中の門脈血栓/SMV血栓が多い)
   ・TACE後、RFA後、ERCP後に疼痛、発熱あるのはよくある。

上腹部痛

<上腹部痛>
  ・若年⇒急性虫垂炎の可能性を念頭に。
   ①喫煙/NSAID/ストレスあり
   AGMLか慢性活動性胃炎かも⇒ひどい時はオメプラール20mg 1Vを生食100mlに溶かして30分かけて静注し、ランソプラゾール(タケプロン)15mg2錠朝食後7日分を処方し経過見る。H2blockerは内服後2~3時間で十分な胃酸分泌抑制、PPIは2~3日後に強力な胃酸分泌抑制効果(→即効性を期待するならH2blocker)。
   ②発熱あり
   急性虫垂炎の前駆症状かも⇒採血と腹部エコーするか、ひどくなければ右下腹部痛になってきたらすぐに来院するように指示。特に関連痛が示唆されるとき(漠然とした痛み、倦怠感強い)。急性虫垂炎初期は右下腹部痛はないこともあり、あっても軽度で鈍痛。しかし100%食欲なく、倦怠感も強い。
   ③月経不順あり
   Fits-Hugh-Curtisかも⇒下腹部痛から半月程して上腹部痛きたす。排尿時痛ないか聞く、検尿検査、クラミジア感染ないか抗体チェック。クラビット100mg5錠分1を5日分処方し、後日、婦人科受診を指示。
   ④嘔気や嘔吐あり
   ブ菌性食あたりかウィルス性胃腸炎初期⇒ミヤBM3g分3を処方し経過見る。水溶性下痢がなければウィルス性胃腸炎とは断定できない。他の上腹部痛の原因がないことを確認する。
    DKAかも⇒尿中ケトン体、デキスターをチェック。
  ・中年⇒AOSCの可能性を念頭に。
   ①喫煙/NSAID/ストレスあり
   胃潰瘍、胃癌、十二指腸潰瘍かも⇒体重減少の有無を聞く。PPI処方し、必ずGIF予約。 
   ②肥満あり
   GERDかも⇒PPI処方とGIF予約。腹単で食道裂孔ヘルニアが分かることも。
   ③喫煙/HTN/HL/DMあり
   まずACSを否定する。
   ☆ST変化は隣接する誘導で1mm以上であれば有意とする。
   ☆胃痛か狭心痛か判別できない時(STが1mmを超えない程度に上昇or低下しているが、TropTやラピチェックは陰性の場合など)はニトロペン舌下錠0.3mgを投与し、15分後に心電図再検する。帰宅させる場合は狭心痛の可能性が否定できないため、後日の循環器受診とニトロペン舌下錠0.3mg3回分を処方する。
  ・老人
   ①ワーファリン/バイアスピリン/プラザキサ:
    出血性胃潰瘍かも⇒頻脈やふらつき/気分不良あれば、レクタールをして黒色便や便潜血ないかチェックする。何もなければPPI処方して、GIF予約。 
  ・右季肋部痛や左季肋部痛を上腹部痛と言っていることがある。特に飲酒歴や喫煙歴がない場合(胆石発作や総胆管結石初期の見逃しが多い。胆嚢炎やAOSCなら発熱あり気づくが。単純CTと採血は推奨)。

腹痛

<腹痛>
☆アシドーシス、ブスコパン無効の腹痛、痛い痛いと言い続けている(発症6時間以上)、痛くて体を動かせない、腹壁が固い、腸雑音が低下ないし減弱のうち2つ以上あれば、腸管壊死の可能性が高い。絶対に外科コンサルトを行う。
★若年者の腹痛では、急性虫垂炎、子宮外妊娠(妊娠反応陰性の外妊破裂などありえない)、絞扼性腸閉塞(closed loopを示唆するbeak sign/gaslessな小腸拡張/腹水/腸管膜の造影)、鼠径ヘルニア陥頓は絶対に見逃さないようにする。
★どんなに若くて元気そうでもniveauあればNG挿入し入院させる(free airと同じくらいniveauは危険なものである)。
★腸管壊死や血栓は単純CTでウィンドウレベル(WL)60/ウィンドウ幅(WW)40にするとよくわかる(SAHはWL/WWとも35)。出血はL40/W250、free airはL-600/W1500でよくわかる。
★腹痛は、部位、年齢、血便血尿の有無、危険因子(喫煙/飲酒/ワーファリン/Af/外傷)を聞く。
★腹部診察では、鼠径部の膨隆がないか見る。
★腹単と検尿を必ずすること。
☆腹痛では、尿検査は必須。膵炎なら尿中アミラーゼ上昇、DKAなら尿中ケトン体陽性、胆道閉塞なら尿中UBG陰性(正常は±)、急性肝炎は尿bil陽性、尿管結石なら尿中赤血球5個/HPF以上、子宮外妊娠なら妊娠反応陽性、PIDなら尿中白血球5個/HPF以上。

心電図のpitfall

cf)心電図のpitfall
  ・ST変化は基本は2㎜以上
  ・下壁梗塞ではreciprocal changeが70%で見られる(特にaVLのST低下)
  ・下壁梗塞を見たら右側誘導(左にある胸部誘導をすべて右に対称移動)で右室梗塞がないかを見る
  →特にⅢのST上昇が高いときは右室梗塞疑う
  →右室梗塞があれば上行大動脈の解離を探す(StandfordAではRCAを噛みやすい)
  ・V1-3のST低下とR増高あれば後壁梗塞を疑って、背中の誘導も(V7-8)。
  ・LAD狭窄ではV1-4でT波が上がって、下がっての2峰性
  ・良性早期再分極(benign early repolarization)では①若い人、②V2-5のST上昇、③四肢誘導のみは稀、④経時変化なし、⑤ミラーイメージなし
  ・心外膜炎のST上昇もイラーイメージなし。ⅡⅢaVfでPRが基線より下があれば心外膜炎。
  ・高KのテントTは左右対称でツンツン、頻脈/除脈→T波増高→wideQRS
  ・中枢神経病変ではV1-4で巨大陰性T波(giant cerebral T)
  ・RBBBはV1でM字型+ウサギ耳型陰性T波
  ・LBBBはV6でM字型+ウサギ耳型陰性T波
  ・脚ブロックのときはST変化評価できない→新たに脚ブロックが出たときは虚血疑う。
  ・PEではSⅠQⅢTⅢが有名だが、V1-3のnegativeTの方が有用→心エコーで右室拡大ないか見る→あれば胸部造影CT
cf)健診で偶然見つけた場合に循環器紹介が絶対必要な波形

引用元:http://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/medical_info/science/201405.html

肺塞栓の除外

cf)肺塞栓の除外
  ・Wells criteria
  下肢腫脹or下肢把握痛 3点
   肺塞栓以外に考えられない 3点
   心拍数が100以上 1.5点
   過去4週以内に3日以上の臥床or手術 1.5点
   DVT/PEの既往 1.5点
   血痰 1点
   過去半年以内のがん 1点
  ・DVTの可能性
   Wells criteria    6> 2-6 >2
   d-dimer陽性 50% 20% 5%
          陰性 10% 1% 0.5%

胸部大動脈解離の除外

cf)胸部大動脈解離の除外
  ①CXRで上縦隔の拡大(8cm以上)
  ②血圧の左右差
  ③移動する背部痛
  3項目全てが除外されれば大動脈解離がある可能性は7%
 ・CXRで大動脈外縁と石灰化の距離が6mm以上であれば解離を疑う
 ・大動脈解離の99%以上でD-dimer0.5μg/ml以上になる(感度99%以上)
  ・ただし、D-dimerが0.5μg/ml以下でも半分は大動脈解離の可能性がある(特異度は50%弱)

注)胸部大動脈解離、腹部大動脈瘤、肺塞栓を除外する一番は造影CT。しかし腎障害がある場合は、検査前に300ml(心不全あるときは150ml)生食をボーラス投与し、検査後は1ml/kg/hrで12時間生食投与。造影剤は50-100mlにする(ヨード含有量が300mg/dlの造影剤の場合)

胸痛

<胸痛>
☆高齢者の心筋梗塞、半分は無痛性。なんとなく元気がない、AST,ALT上昇、血圧低下など見られたら必ず心電図を。
☆喫煙歴or高血圧or中年以上男性で、以下3つのうちどれかを訴えた場合は、必ず心電図を!
 ・右でも左でも胸の痛み(しめつけられる、むかむかする、押さえつけられる)
 ・運動時痛のように見える右でも左でも両側でも肩の痛み
 ・嘔気または気分不良
☆ST変化は隣接する誘導で1mm以上であれば有意とする。
☆胃痛か狭心痛か判別できない時(STが1mmを超えない程度に上昇or低下しているが、TropTやラピチェックは陰性の場合など)はニトロペン舌下錠0.3mgを投与し、15分後に心電図再検する。帰宅させる場合は狭心痛の可能性が否定できないため、後日の循環器受診とニトロペン舌下錠0.3mg3回分を処方する。
☆突然生じた両側肺水腫を見たら、心筋梗塞を念頭に置くこと!!!
★狭心痛で採血、心電図、心エコーが正常なら、冠動脈造影のために後日循環器受診してもらうために紹介状を書くこと。
★まず心電図とモニターを装着し、胸写をとる。明らかなST変化あれば直ちに循環器call。
☆胸痛あるのに、ST変化なければ、見逃すと危険な胸部大動脈解離、肺塞栓、緊張性気胸、食道破裂を除外する。
  ・胸部大動脈解離ないか見るために、胸写や造影CTを行う。pCTでもdencityの違いや大動脈内の石灰化で解離がわかることがある。
  ・肺塞栓ないか見るために、下肢の把握痛ないか、SpO2の低下(90%前後であることが多い)、危険因子(下肢静脈瘤、1か月以内のフライト、寝たきり、喫煙、肥満、ピル、骨盤手術)を探す。PEによる右心不全があれば心電図変化(胸部誘導でのnegativeT)や右室拡大(UCG/CT)、D-dimer上昇を認める。
 ・Ⅱ,Ⅲ,aVfのST変化ある下壁梗塞では徐脈になりやすい。 
 ・ショックバイタルなら緊張性気胸も頭の片隅に入れる。ショックバイタル、気管偏位、片側呼吸音低下なら緊張性気胸として、両側乳頭を結ぶ線と中腋下線の交点を尖刃で切開し、ペアンでとりあえず胸腔に孔を空ける。
  ・食道破裂(Boerhaave症候群)は頻回嘔吐の後に起きる、胸写やCTで左胸水あり。
☆胸痛と共に、1mm以上のST変化やCRP↑伴わない白血球上昇あればミオコールスプレー1回噴霧、抗血小板薬3剤(バイアスピリン100mg,プレタール(シロスタゾール)100mg,アンプラーグ(サルポグレラート/5-HT2遮断薬)100mg)を2 錠ずつ噛み砕いてもらい、採血でCPK,CKMB,TropT/I,ラピチェック(H-FABP)を測定し、心エコーで壁運動の低下の有無、EF、心嚢液貯留ないか見る。
☆症状消失し、VSAの時はニトロペン舌下錠0.3mg3回分処方し、後日循環器受診を指示。
☆PCI後1年以内に再狭窄がくることは稀。PCI後に不安になって架空の胸痛で受診する人が多い。
☆CKMB上昇はCPKの1割以上でないと有意にはとれない。TropT/IはACS,uAPの他、心不全,腎不全でも陽性になる(自然崩壊のTropT/Iが排泄されないため)。
☆食後であれば胆石発作とGERDの除外する。
☆痩せ型長身の若年男性では自然気胸かも。
☆冷や汗、激痛で何もない人もいる(精神疾患や以前の受診歴をチェックする)。
☆肋間神経痛は肋骨下端を触診する。肋軟骨炎(Tietze症候群)、剣状突起炎、大胸筋筋肉痛なども胸痛きたす。
☆感冒様症状が続き、その後CPK↑TropT↑壁運動低下あれば心筋炎か(心筋炎で心拡大はこない)。
☆他に誘因や症状なくEF低下とLVDd拡張であればDCM。
☆Af tachycardiaやPSVTによる動悸を胸痛という人もいる。
☆変な心電図は以前の分を取り寄せて比較する(ST変化なくても新たに生じた脚ブロックはACSの可能性大)。
☆心筋梗塞の超急性期の心電図を見逃さないこと!!

骨折

<骨折>
★基本的に緊急性は低いのでシップとギプス包帯で固定し、翌日の整形外科受診を指示する(顔面なら口腔外科受診)。
☆開放骨折、血流障害、神経障害あれば即日整形受診すること。また、小児も顆上骨折や足関節の骨折は皮膚障害を起こすこともあり、即日整形受診を。
☆次のことを説明する。
  ・レントゲンで見えない骨折もあるが今は時間外で人手が足りず詳しい検査ができにくいこと
 ・荷重がかかってずれてきて初めてわかる骨折もあること
 ・小児は骨化が進んでいないため骨折が見えないことがある
☆レントゲンで自発痛、圧痛、叩打痛があるところを入念に見る(前後上下も)
☆肋骨骨折を探すときは必ず胸部正面も撮影し、血胸がないか見ること。
☆上腕の外旋時痛は上腕骨頚部骨折の可能性あり。
☆下顎骨は脱臼あればすぐに整復する。顎関節の左右差ないか見て、脱臼無く2横指開口できれば後日口腔外科受診を指示。
☆小児の肘の骨折は4方向+両側、関節周囲の脂肪組織の盛り上がり(fat pad sign)あれば骨折
☆外顆骨折は転位強ければ整形call。上腕骨遠位端の骨化は外(1才)→最内(5才)→内(10才)。
☆壁を殴って中手骨骨折→転位を直してからMPを曲げてPIP/DIPをまっすぐにして固定する。
☆開放骨折、神経障害、血流障害あればすぐに整形callを。
☆CTの骨条件なら骨が重なり合うところの骨折が良く分かる(膝関節、足関節、手関節、頚椎、骨盤、頭蓋骨、頬骨、下顎骨など)。
☆顔面の骨折は髄液漏や神経所見なしなら後日口腔外科受診を指示。
☆転位のない骨折はソフトシーネやオルソグラスで固定し、後日整形外科受診を指示。
☆脱臼(転位)、感覚運動障害、血流障害(5P症状)あればすぐに整形外科call。
☆5P症状のない開放骨折はとりあえず創閉鎖し、後日整形外科受診を指示。
☆拘縮、麻痺がある場合の骨折対応(療養病院での骨折対応)
・末梢の動脈の拍動を確認。
・受傷原因の精査(多くは体転時に無理な姿勢になり自重が加わり、関節拘縮があり外力の逃げ場がないためと思われる)。
・麻痺、拘縮があれば手術適応はなし。
・患肢を正常位に戻して、湿布を貼り弾性包帯を巻いておく。あまり強く巻きすぎないこと。末梢動脈の拍動を確認する。末梢動脈にマジックで印をつけて、包帯交換時に拍動を必ず確認してもらうこと。
・院内に整形外科医がいない場合は、整形外科を受診するかを家族に聞く(麻痺、拘縮がある場合は手術適応にはならないことを伝え、転位しているので保存的に診た場合は骨折したままであること、痛みの程度、血管損傷はないことetcを説明する)。ムンテラの結果、整形外科は受診せずに院内でできる範囲で対応を希望されれば、その旨を必ずカルテに記載しておく。

急性薬物中毒

<急性薬物中毒>
★基本は、輸液(ラクテック120ml/hr程度)でwash out。
★薬剤による腎障害、肝障害の可能性、嘔吐による誤嚥性肺炎の可能性を説明する。
☆意識障害なければ活性炭をすぐに飲んでもらう。
☆意識障害あれば、気管挿管せずに活性炭を投与するのは禁忌(活性炭肺炎はARDS起こして予後不良)。
☆透析適応はI stumbleで覚える
(isopropranorol,salicylate,theophyline,uremia,methanol,barbiturate,βblocker,litium,ethyleneglycol)。
☆血中アルコール濃度(mg/dl)の推定は、OSM(mosm/L,mmol/L)=2Na+BS/18+BUN/2.8+C2H6O/4.6から計算できる(血中濃度が0.3g/dl,0.3%を超えると昏睡)。
☆痙攣発作+アシドーシスあれば三環系抗うつ薬疑う→メイロン,活性炭の繰り返し投与しないとCPA起こすことあり。
☆トライエージで判明する薬剤はアンフェタミン、メタンフェタミン、大麻、コカイン、ベンゾジアゼピン、バルビツール、三環系抗うつ薬、フェンシクリジン、オピオイド。アンフェタミンやメタンフェタミンは感冒薬(エフェドリンなど)や麻黄で偽陽性になることあり。オピオイドはリン酸コデイン(感冒薬含む)で偽陽性になることあり。

中年以降の突然発症の激痛

<中年以降の突然発症の激痛>
★突然発症の背部、腹部、下腹部の激痛は血管病変をまず考え、造影CTを行う。
★中年、高血圧、喫煙歴、抗癌療法中の背部痛では、まず大動脈解離を否定する。
☆解離はまず除痛と降圧。除痛はソセゴン(ペンタゾシン)を痛みが止まるまで10A(1Aは15mg/1ml)まで頻回投与。降圧はラジストン(ニカルジピン)1㎎/1mlを頻回静注、ニカルジピン10mg10ml2Aを生食20mlに溶いて5ml/hrから持続投与開始。
☆既往なければ、除痛と降圧しながら、すぐに造影CTに行くこと。激痛=痛い痛いとずっと言っている状態。
☆突然の激痛の例
・突然の頭部の激痛+Cushing sign+意識障害⇒SAH(SAHでCPAになることあり!!心電図変化も来る! !)
・突然の背部の激痛+収縮期200以上+喫煙歴⇒大動脈解離
・突然の腹部の激痛+腹部軟+ショックバイタル+喫煙歴⇒腹部大動脈破裂
・突然の腹部の激痛+腹部軟+ショックバイタル+Af/HD⇒SMA塞栓症
・突然の下腹部の激痛+腹部軟+ショックバイタル+喫煙歴⇒総腸骨動脈瘤破裂
☆”裂ける痛み”や”移動する痛み”と言う場合は少ない。”イタイ、イタイ”と唸っていて、冷や汗を伴って、応答もきちんとできない、意識混濁の場合が多い。
cf)StandfordB型解離の手術適応:
 片肺換気、肺切除も伴うのでそもそもriskの高い手術であり、内科的治療の方が成績が良い。
①破裂したとき、②偽腔に流入があり55㎜以上で破裂の危険性大(瘤は60㎜以上だが解離あれば5㎜マイナス)、③CA/SMA/IMA噛んでる時(腎動脈噛んでるときは大抵片側であり後腹膜操作となりrisk大なので緊急手術にならない)