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2014年9月17日水曜日

高血圧

<高血圧>
☆血圧を測って、普段より高いので、不安になってくる人が多い。
☆視野異常、嘔気嘔吐、他の神経所見なければ、収縮期200mmHg以下であれば降圧は不要。
☆体調が悪いから血圧が高いのであって、血圧が高いから体調が悪いのではないこと、血圧を不用意に下げると脳梗塞の危険性もあること、を説明する。
☆希望が強い場合は、点滴と安静指示。
☆浮遊感、眩暈で来院することがあるので、その場合は頭部CTを。
☆200以上の高血圧で他に症状ないなら降圧薬の飲み忘れもあるぞ。
☆降圧薬を使う前に、2次性高血圧除外のためにBNP、アルドステロン、レニン活性、コルチゾール、ACTH、C3分画(アドレナリン、ノルアドレナリン、ドパミン)、PAC/PRA比の測定と、腎血管エコーを行うこと。
cf)C3分画の採血は30分安静臥床後、そのまま採血すること。
注)
・高圧目標は高齢者、冠動脈疾患、脳血管障害既往では140/90未満、DM、CKDは130/80未満
ARB、CCB、利尿剤によらず心血管イベントは降圧度の応じてリスクが下がる。薬の種類は無関係。
・投与方法は、朝1回では朝の血圧が高いときは就寝前1回や夕方投与にする、1日2回投与に分割する。RA系は早朝に亢進する。もしくは、朝にARB、就寝前にCCBなど。
・血圧は夜間睡眠中に下がるのが正常で、睡眠中に上昇するのはriser、下がらないのはnon-dipperで心血管イベント増加につながる。副交感神経優位になり、代償的にRAA系が亢進しすぎるとriserになる。
・少量サイアザイド(ヒドロクロロサイアザイド6.25mg)併用でNa排泄を促進させるとよい。
・減塩指導の1例:加工品を減らす、漬物は浅漬けや酢漬け、味噌汁は1日1杯、小ぶりの汁椀にする、ラーメンは止める、減塩の調味料、1食2gまで
・非ジヒドロピリジン系CCB+β拮抗薬は徐脈や房室ブロックに注意。ARB/ACEI+抗アルドステロン薬は高K血症に注意。
・NSAIDsは利尿薬、β拮抗薬、ACEIの降圧効果を減弱させる。
・H2拮抗薬はチトクロームP450を阻害し、CCBやβ拮抗薬の降圧効果を増強する。
・ジゴキシンは非ジヒドロピリジン系CCBの併用で血中濃度が上昇する。
・夏場、高齢者にRA系抑制薬+利尿薬の組み合わせは脱水から腎性腎不全になることがある。
・グレープフルーツはチトクロームを抑制し、ジヒドロピリジン系CCBの作用を増強させる。
・リファンピシンはチトクロームを誘導し、ジヒドロピリジン系CCBの作用を減弱させる。
・DM合併例では、ARBやACEIを第1選択とするが、降圧作用が不十分で腎機能障害あるとき(Cr2-3)は増量せずに、CCBを追加する。
・CKDでも高血圧による腎硬化症や多発嚢胞腎は体血管の血圧と糸球体血圧は相関が少ない。一方、DM性腎症や糸球体腎炎では全身血圧が正常でも糸球体血圧は上昇し、糸球体硬化を引き起こし、限外濾過係数を低下させ、さらに糸球体血圧が上昇する。
・糸球体への前負荷を蛋白制限で減少させ、後負荷をRA系抑制薬で減少させる。
⇒CCBで血圧を下げても、充分に降圧しないと糸球体保護にはならず、RA系で降圧効果が不十分でも糸球体血圧が下がり糸球体保護につながる場合がある(ただし、Crが3を超えると糸球体血流の低下を招き、さらなる腎機能低下を招く可能性あり)
⇒腎硬化症や多発嚢胞腎ではCKDでも140/90未満を目標にすればよいが、DM性腎症や糸球体腎炎では125/75未満を目標とする。
・脳卒慢性期の降圧目標は、140/90未満、両側頚動脈高度狭窄、脳主幹動脈閉塞の場合は下げすぎに注意。ラクナ梗塞や脳出血既往ではさらに下げる。CCB.ACEI/ARB,利尿薬など。
・心不全合併例では、HFrEF(HF with reduced EF=収縮不全)とHFpEF(HF with preserved EF=拡張不全)に分ける。EF低下とは40-50%以下を指す。
・HFpEFは高齢女性、高血圧、DM、Afで多い。
・心不全ではRA系が亢進しているので、ACEIやARB投与により過度の降圧や腎機能障害を生じやすいので、通常量の25%程度から開始する。
・β拮抗薬は幅広い重症度の心不全患者に予後改善効果がある。カルベジロールとビソプロロールなど。ごく少量から開始し、体重、胸部X線、BNPをモニタリングしながら使用する。
・利尿薬で臓器鬱血を軽減させ、長時間作用型ジヒドロピリジン系CCBで降圧させる。
・拡張不全における臓器鬱血には利尿薬が有効。頻脈やAfがあれば心拍コントロールを行う。
・冠攣縮性APにはβ拮抗薬単独は禁忌なので、機序が不明な場合や、冠動脈狭窄と攣縮がともに関与している場合は、長時間作用型CCBが第1選択となる。140/90未満が目標血圧。
・心筋梗塞既往ではRA系抑制薬とβ拮抗薬の組み合わせがよい。130/80未満の厳格な血圧コントロールが重要。
cf)高血圧治療ガイドライン2009
若年者、中年者:診察血圧130/85未満、家庭血圧125/80未満
高齢者:診察血圧140/90未満、家庭血圧135/85未満
DM,CKD,心筋梗塞後:診察血圧130/80未満、家庭血圧125/75未満
脳血管障害後:診察血圧140/90、家庭血圧135/85
正常高値130-139/85-89
I度高血圧:140-159/90-99
II度高血圧:160-179/100-109
III度高血圧:180以上/110以上
リスク第3層(DM,CKD,心血管病):正常高値以上で全て高リスク
リスク第2層(CKD,心血管病のうち1-2個orメタボ):正常高値以上で中等リスク、II度高血圧以上で高リスク
リスク第1層(危険因子なし):I度高血圧以上で低リスク、II度高血圧以上で中等リスク、III度高血圧以上で高リスク
低リスクなら3ヶ月以内の指導でも140/90以上なら降圧薬開始
中等リスクなら1ヶ月以内の指導でも140/90以上なら降圧薬開始
高リスクなら直ちに降圧薬開始

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